切迫流産にならないために
このページの監修について
妊婦さんに正しい知識を持って安全な旅行を楽しんで頂くため、婦人科の専門医である成城松村クリニック院長 松村圭子先生に監修して頂いています。
妊娠初期に起こりやすい代表的なトラブル「切迫流産」。軽度なものを含めると、約20~25パーセントの人が切迫流産の症状を経験すると言われています。大事なのは、切迫流産の症状があっても、それが流産になるとは限らないということ。症状が良くなれば、問題なく赤ちゃんを産むことができます。
そもそも切迫流産とは
切迫流産とは、出血やお腹の張り、痛みといった症状があり、流産が迫ってきている状態をいいます。注意したいのは、あくまで「流産の危機が迫っている」という状態であり、必ずしも流産に繋がるわけではありません。症状が良くなり、胎児の生存が確認できれば、通常通り出産できます。
切迫流産の症状
腹痛
切迫流産には、下腹部の張りや下腹部痛があります。痛みは子宮が収縮することによって引き起こされるため、生理痛のような痛みだと表現されることが多いようです。痛みが長く続いている、もしくはいつも以上に重いといった異常を感じたら、すぐ主治医に相談しましょう。
出血
切迫流産の症状として、もうひとつ出る症状が出血です。妊娠初期はおりものに茶色い血が混じることはあります。ただ、生理用ナプキンが必要なほどの量ではなく、おりものシートに500円玉以下の出血ですぐに治まるならば、緊急性はありません。切迫流産が進行してしまうと、真っ赤もしくは、赤黒い出血が何日も続きます。普段より違和感がある血の量ならば、すぐに主治医に相談してください。
流産の原因
流産の原因は様々ですが、多くは受精卵側にあるようです。
もし残念な結果になってしまった場合、それは受精卵の染色体異常で、受精した直後にはすでに決まっていたこと。自分を責めてはいけません。また、海外ではストレスと流産の関連性も指摘されつつあるようです。
染色体異常
切迫流産から早期流産(妊娠12週未満)になった場合、7~9割は受精卵の染色体異常が原因です。胎児芽に異常がある場合がほとんどなので、現代医学でも防ぐことが難しいのです。。流産(妊娠22週未満)の確率は、全妊婦の15%です。妊娠経験者の7人に1人が経験しており、誰にでも起きうる悲しいことと言えます。そして、その大部分が早期流産です。
一方、後期流産(妊娠12週~22週未満)は、母親側に原因があることも。子宮内感染や子宮頸管無力症、子宮筋腫や子宮奇形、甲状腺疾患、膠原病などの自己免疫疾患などが影響を及ぼすこともあります。また、母体が妊娠を受け入れにくい体質の場合も流産しやすくなります。
ストレス
海外では、流産とストレスの関連性を指摘する研究がいくつかあります。ただ、母体が激しいストレスを受けて、すぐ赤ちゃんに影響があるわけではありません。母体がストレスを受け続けるうちに交感神経が優位になって、血管が収縮し続け、その影響で赤ちゃんに酸素や栄養が届きにくくなり、流産や早産のリスクが高まるのです。
妊娠中はできる限りゆっくりしよう
妊娠初期に起こりやすい切迫流産。せっかく授かった命を守るためにも、お母さんは今まで以上に自分の身体を大事に考えてくださいね。少しでも「おかしいな?」と思ったら、すぐに病院へ行き、先生の指示を受けましょう。超音波検査で赤ちゃんの心音がわかるなら、問題ない場合も多いです。そして、とにかく安静第一。自分と赤ちゃんのためにも体をいたわり、ストレスに振り回されないようゆっくり休んでください。
妊娠初期はおうちでゆっくりしながら、リフレッシュできることを考えると良いですね。例えば安定期になったら、ストレス発散のために旅行をしようと考えつつ、楽しい旅行プランを立ててみては?
ただ、安定期といっても妊婦さんがデリケートなのは変わりありません。ゆっくりと余裕を持ったプランを立てましょう。
成城松村クリニック 院長 松村圭子 先生
日本産科婦人科学会専門医/専門分野 婦人科
広島大学附属病院等の勤務を経て2010年に「成城松村クリニック」を開院。日本産科婦人科学会に専門医として所属。さまざまな悩みや不安を抱える女性をサポートするため、講演、執筆、TV出演など幅広く活躍中。