妊娠初期の旅行はおススメできません

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このページの監修について
妊婦さんに正しい知識を持って安全な旅行を楽しんで頂くため、婦人科の専門医である成城松村クリニック院長 松村圭子先生に監修して頂いています。

妊娠初期はいろいろな症状が出やすい時期

妊娠初期はまだお腹も目立たず、体の変化も分からないもの。中には全然つわりがなく普段と体調も変わらないから、遠出したい、旅行にしたいという気持ちもよくよく分かります。しかし普段と体調が同じだとしても、妊娠初期は本当にデリケート。妊娠初期に旅行をするリスクをお話しします。


妊娠初期ならではの旅行のリスクとは?

妊娠初期は、お母さんの身体の負担が大きくなる

妊娠初期は、匂いに敏感になります。旅行中ですと、いやでも匂いを感じてしまう可能性が。ほかにも、食べづわりや下腹部痛といった症状も、妊娠初期の症状として挙げられます。そういった、あらゆる症状が重なって、お母さんの身体に負担が掛かるため、旅行に行く時期として適していません。心臓や脳、肺など、赤ちゃんの身体の重要な部分が形成される時期でもあるため、身体に負担を掛けないように、ゆっくりと過ごすことがベストです。

つわり

つわりは、妊娠初期の多くの人が体験をする症状です。なぜ、つわりが起きるのか?原因はまだハッキリと分かっていません。様々な症状があるため「体の調子がおかしい?」と思ったら、それはつわりの可能性も。

  • 吐きつわり

胃のむかつき、食欲不振や嘔吐といった症状

妊娠初期の身体の症状として代表的なのが「吐きつわり」です。胃がムカムカする、食欲がない、吐いてしまうなどの症状が出てきます。朝の空腹時、血糖が下がる時が最もつらいとされています。中には症状がひどく、一日に何度も吐き続け、栄養障害を起こしてしまう人も。

吐きつわりの対策とは?

食べられるものを食べたい時に、少量でも良いので口にするようにしましょう。つわりがひどくて食事ができないと、赤ちゃんに栄養が行き届かないのでは?と不安になる妊婦さんもいます。しかしながら、この時期の赤ちゃんはとても小さいので、まだ栄養のことを心配しなくても大丈夫。食べられるものが妊婦さん個人の体調、気分によって非常に偏ってしまうため、旅行の食事を楽しむことは難しいかもしれません。

  • 匂いつわり

ある匂いを嗅ぐと、吐き気を感じる症状

匂いに敏感になり、苦手な匂いを嗅ぐと吐き気を感じたり、実際に吐いてしまったりすることを「匂いつわり」と言います。今まで平気だった匂い、好きだった匂いまで苦手になってしまい、えずいたり吐いたりしてしまう人もいます。

匂いつわりの対策とは?

苦手になってしまったにおいは、トコトン避けましょう。食べ物だけでなく、洗剤など香料が含まれているにおいがダメになったら、無香料のものを選んだり、マスクをすると良いです。中には、ティッシュを鼻に詰めたうえでマスクをするという人も。あとは、こまめに室内を換気し、新鮮な空気を取り込みましょう。

どんなにおいがダメになるのか、妊婦さん本人も曖昧な部分があるため、旅行中の見知らぬ場所や車のにおい、食事のにおいで、あまり楽しめる状態にはなれないかもしれません。

  • 食べづわり

食べづわりの対策とは

食べづわりとは常に何かを口にしていないと、気持ち悪くなる症状を指します。吐き気があってごはんが食べられないのではなく、空腹になると吐き気がしてしまうのです。ずっと何かを口にすることで、お腹がいっぱいになり過ぎて、逆に気持ち悪くなることも。

食べづわりの対策とは

食事と食事の時間が空いてしまうと、空腹感を覚え、気持ち悪くなってしまいます。そのため、1回の食事量を減らし、回数を増やすことがポイントです。1回の量をとり過ぎず、急激に血糖値を上昇させる甘いものは食べない方がいいでしょう。貝に酒などたんぱく質を含む玄米のおにぎりや味噌汁、魚や肉、大豆製品、ほかには食物繊維の豊富なサラダがおすすめです。また、間食も甘いお菓子ではなく、低カロリーの飴、手軽に摂取できるゼリー、ガムや酢昆布でも多少は気が紛れます。

食べづわりがある場合、旅行中でも常に食べ物を持つ必要があります。

下腹部痛

子宮や恥骨辺りに違和感がある症状

「下腹部痛」とは、子宮や恥骨の辺りにチクチク、シクシクする痛み、ズキズキする痛みのこと。妊娠中にともなうホルモンバランスの変化などによって、子宮が増大し、恥骨や骨盤の関節がゆるみやすくなり、恥骨痛や腰痛などが生じます。

下腹部痛の対策とは?

下腹部痛は軽い生理痛のような痛みであれば、自然な身体の変化によって出てくるものなので、あまり心配する必要はないとされています。しかし、切迫流産や異常妊娠の恐れがないとも言い切れません。できるだけ、日常生活はゆったりと過ごし、重いものなどはあまり持たないようにするなど、安静に過ごしましょう。我慢できないほどの痛みを感じる異常事態時には、すぐに病院を受診してください。

妊娠初期の時期に、長時間の移動や長い時間歩いたりする旅行は、下腹部痛のリスクが高まります。せっかく宿に行っても寝込んでしまって、楽しい思い出が出来ないでしょう。

流産・切迫流産

妊娠が中断・流産になりそうなこと

流産とは、赤ちゃんが母体の外で育つことができない妊娠22週未満の時期に、妊娠が中断してしまうことを言います。

切迫流産とは、出血やお腹の張り、痛みなどの症状があり、流産が差し迫っている状態です。

流産・切迫流産の対策とは?

切迫流産の治療対策は、とにかく「安静第一」です。状態により、安静を必要とする度合が人によって違いますが、出血が続いている間は、食事やトイレ以外は横になって過ごすのがベストです。

初期流産の原因の多くは、赤ちゃんの染色体異常や遺伝子病にあります。どんなに体をいたわっても、妊娠初期の流産は防ぐ方法がありません。もし、妊娠初期に旅行へ行って悲しい結果になっても自分を責める必要はありませんが、悔やんでも悔やみきれない気持ちになることも。妊娠初期はなるべく安静に過ごしましょう。

妊娠中の旅行はいつから行っても良いの?

安定期に入る、5~7ヶ月がベスト!

お医者さんに相談してから行きましょう

安定期という言葉は、医学用語ではありません。妊娠初期のような流産の心配が少なく、妊娠後期の早産に繋がりやすい時期ではない中期を、分かりやすく「安定期」と表現しています。だからといって、赤ちゃんの大切な成長時期に変わりありません。そのため旅行に行くなら、かかりつけのお医者さんとしっかり相談してから行きましょう。

旅行する際に気を付けることとは

お医者さんに安定期に旅行しても良いと診断されても、自分が「妊娠中」であることを忘れずに行動しましょう。安定期という言葉に油断せず、長時間の移動は控え、激しい運動やスケジュールを詰め込み過ぎない、ゆったりしたプランで、心身の負担をなるべく軽減する方向で旅行プランを組んでくださいね。


安定期の旅行プランを考えましょう

妊娠初期の旅行は難しいです。妊娠初期に旅行しなければ良かったという後悔がないように、今の時期は我慢しましょう。

安定期と呼ばれる時期の方が、比較的お医者さんにOKをもらえます。もう少しだけ待って、安定期の旅行を考えてみてはいかがでしょうか?

安定期の旅行でも、注意するべき点がいくつかあります。この時期に旅行へ行くときもお医者さんに相談したり、よく調べたりしてから行くことを考えましょう。

このページの監修医師について
成城松村クリニック 院長 松村圭子 先生
松村圭子 先生 写真

日本産科婦人科学会専門医/専門分野 婦人科
広島大学附属病院等の勤務を経て2010年に「成城松村クリニック」を開院。日本産科婦人科学会に専門医として所属。さまざまな悩みや不安を抱える女性をサポートするため、講演、執筆、TV出演など幅広く活躍中。

≫松村圭子先生の詳しいプロフィールはこちら

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