妊娠中の過ごし方で
子どものアレルギーリスクが変わる
このページの監修について
妊婦さんに正しい知識を持って安全な旅行を楽しんで頂くため、婦人科の専門医である成城松村クリニック院長 松村圭子先生に監修して頂いています。
妊娠中の日常生活や食べ物の注意などは多く、海外研究では妊婦さんの身体が強いストレス下にあると、お腹の赤ちゃんに様々な影響があると言われています。最近では、赤ちゃんのアレルギーも母体のストレスが原因として挙げられることも。
アレルギー患者は増加傾向にある
アレルギー患者が増加、今や2人に1人
厚生労働省によると、「我が国全人口の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に羅漢している」と推計されています。また、喘息やアレルギー性鼻炎(花粉症)、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を年代別で見ると、0~19歳の若年層が特に多く、増加傾向に。国はアレルギー疾患対策基本法、アレルギー疾患対策推進協議会を設けましたが、具体的な解決策はまだ立てられていない状況です。
生まれてきた赤ちゃんのために、出来る限りのことをしてあげたいものです。
赤ちゃんのアレルギーの原因
遺伝
ゼロではない、アレルギーの遺伝
赤ちゃんがアレルギー体質になるかどうかの原因のひとつに、遺伝があります。アレルギーというのは優性遺伝のため、親がアレルギー体質であれば、子どももアレルギー体質になる可能性は高いです。代表的なものが、アトピー性疾患です。
また、妊婦さんがアレルギー持ちである場合、遺伝する確率はおよそ30パーセント、お父さん側がアレルギー持ちの場合はもう少し下がるようです。
ストレス
お母さんのストレスは赤ちゃんにも悪影響が…
妊婦さんで、もしイライラ、カリカリしてしまうことが多いと自覚する環境にいるならば、そこから離れるか、改善するように動いた方がいいかもしれません。海外の研究において、お母さんが妊娠中に強いストレスを抱え続けている状態にあると、子どもの喘息リスクを高める可能性がある、という調査結果を発表しました(引用元:https://www.news-medical.net/news/20100318/74/Japanese.aspx)
また動物実験では、妊娠中の母親のストレスがお腹の中にいる赤ちゃんの免疫システムに影響を及ぼすことも示唆されています。子どものアレルギーリスクは、お母さんのストレスと関係がある可能性が高いのです。
ダニ・ハウスダストは関係ない?
綺麗にしていて損はナシ
ハウスダストとは、家の中に存在する繊維やダニの死骸などのホコリのこと。アレルギー疾患を持っている人にとって、アレルゲン(抗原)になりやすい物質です。発症すれば、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなどの症状が出ます。
妊娠中、ハウスダストが胎盤を通して胎児に伝わることはないようですが、衛生上の観念から見ても、ダニが充満する環境にいて良いことはありません。アレルゲンとなるダニなどのホコリは綺麗に掃除しておきましょう。最初はアレルギーがなくても、ダニが多い環境にいるとダニアレルギーが生じる可能性があります。
妊娠中の食生活は関係ない?
お母さんの食事は赤ちゃんのアレルギーに影響しません
「アレルギーになりやすい食材をよく食べていると、子どもがそのアレルギーになる」という説がありますが、実際のところ、この説に科学的根拠はありません。ただ、特定のものを食べ過ぎていると、そもそも母体の栄養が偏ってしまい、必要な栄養が不足することも。偏りなく、栄養バランスを考えて食事をとりましょう。
アレルギーが子どもに発症してしまっても、妊娠中の食生活を振り返って自分を責める必要はありませんよ。
まずはストレス対策を始めましょう
生まれてくる赤ちゃんがアレルギー体質かどうかは、遺伝と育つ環境に左右されます。遺伝は妊婦さんが努力しても改善できるわけではありませんので、生まれた後の生活に気を遣うよう心がけましょう。ただ、お母さんのストレスが赤ちゃんの体質に影響を与えている可能性もあります。お母さんがストレスを溜めないで生活することも、赤ちゃんにとっても大切です。
最近、ストレスが溜まっているな、リフレッシュしたいな、と思っているならば、ちょっとした旅行はいかがでしょうか。妊婦さんにおすすめの旅行プランを紹介します。
成城松村クリニック 院長 松村圭子 先生
日本産科婦人科学会専門医/専門分野 婦人科
広島大学附属病院等の勤務を経て2010年に「成城松村クリニック」を開院。日本産科婦人科学会に専門医として所属。さまざまな悩みや不安を抱える女性をサポートするため、講演、執筆、TV出演など幅広く活躍中。